5月 23, 2012

ピントを合わせる話

Posted in camera, scrible tagged , , , , @ 13:16 by R_tungsten

the zone of city

 写真を撮る為にはピントを合わせねばならぬ。……いや、合わせなくても一向に構わないが、たぶん普通は合わせる。
 そんなわけで、カメラには距離計、という物が付いている。意識しなくても付いている。意識するしないに関わらず、距離計を使ってピントを合わせる。しかし距離計、と言うのは物理的に容積を食う仕組みであるので、それそのものによってカメラの形状の何割かは決定される。あるいは、MFにおいては、ピントを合わせる、と言う行為が撮影の1/3ぐらいを占めるので、距離計によって撮影の時間が変化する。
 今回は距離計のお話。

 ・ピンホール
 と言いながらのっけから距離計がないときのお話(笑)
 原始的にはカメラは極小の穴を開けただけのものであった……らしい。こいつがピンホールである。絞りを絞れば被写界深度が深くなって、広い範囲にピントが合うようになるが、ピンホールはその極み、と言うわけである。ピントを合わせなくてもパンフォーカスで写真全体にピントが合う。
 当然、侵入してくる光は極めて少ないので撮影には時間がかかる。かかる、がだからこそ撮れるものもある……らしい。
 現代でもピンホールカメラは写真好きにとっては大きなジャンルの一つとなっている。針穴写真、とも呼ばれる。レンズキャップに小さな穴を開ければすぐにでも始められる。……が、未だ実践したことはない。

 ・目測
 カメラにレンズが付くと、レンズには焦点があるのでピントを合わせなくてはならぬ。と言うわけで、合う距離をレンズに刻んだ目測式カメラ、が登場する。
 少しだけ練習が必要だが、なんとなーく何メートルぐらい離れてるかなー、というアタリを付けてピントを合わせる。さらに少し絞ればあまり外さなくなる。コツは思ったよりやや手前に合わせることである。被写界深度はピントの合う距離より奥側に深くなっているのでそういうことになる。
 目測の良い所は、ピントを合わせるのに時間がかからないことである。そもそも厳密には合わせられないのだから、アバウトに合わせることになり、結果として撮影時間が早くなる。距離計を別に必要としない、のでカメラも小さくなってお得。
 ちなみにレンズに距離さえ書いてあれば、これまたいつでも目測で撮影できる。めでたい。

gas meters

 ・RF
 いやいや、厳密に合わせた方がいいでしょう、と言う事でレンズとは別に距離計を載せる、例えばレンジファインダー(RF)である。
 RFは三角測距を応用した距離計である。要するに二つのレンズに入ってくる像の違いから距離を割り出そうぜ、と言う仕組みである。実際にはレンズを回して二重像を一つに重ねる、という手順を踏む。
 RFの良い所は、ピント精度が高い、と言うところである。像がぼやけているか否かより、二重像が合致しているか否か、の方が判断し易いのでそういうことになる。しかし、レンズとは別の光路の距離計を使うので、レンズとファインダーの画角を常に一致させる、と言う事ができない。当然パララックスも発生する。
 とは言え、脳内で適当にトリミング(あるいは画角を広げたり)しながら撮る、と言うのは独特の興奮を伴う。ついでに言えばファインダーがほとんど素通しなので明るくて気持ち良い。ヘンタイ。

 ・レフレックス
 いやいやいや、見える範囲と撮影範囲は出来るだけ一致していた方が良いでしょう、と言う事で、SLRやTLRは鏡を使って光路を曲げ、ファインダーと撮影レンズの画角を一致させている(※とは言えTLRはビューレンズとテイクレンズが別なのでパララックスは発生する)。
 こうなると、素晴らしいかな、目で見て、脳が「おぉ、ピントが合ったんじゃね?」と感じるところでレンズを止めればピントが合わせられる。なにゆえ「おぉ、ピントが合ったんじゃね?」と思えるのかは、割と謎の領域だが、とりあえず一番感覚的にピントが合わせられる。しかし上述の通り、像がぼやけているか否か、を厳密に判断するのは、想像以上に難しい。……のでピント精度は撮影者の感覚に依存する。
 そこんとこもう少しなんとかならん?と言うわけで、マット面にスプリットイメージを入れてみたり、色々と工夫されている。
 レフレックスの良い所は、「おぉ、ピントが合ったんじゃね?」と感じる事が出来ることである。ふわっと、あるいはピタっと合焦する感覚は、言葉に出来ない感動がある。

slightly blind

 ・AF
 いやいやいやいや、そもそも人間の感覚にしたがってレンズくるくる回すなんて面倒でしょ、機械に頼った方が精確でしょ、と言うわけでオートフォーカスが登場する。
 AFにも、超音波を使ってみたり、RFを使ってみたり(CONTAXのGシリーズがたしかそうだよね)、位相差やコントラスト差から判断してみたり、と色々あったわけであるが、撮る人間は別に仕組みを理解していなくても、シャッターボタンを半押しするだけである。
 幸いなるかな、AFは瞬間に強い。そもそも写真とは瞬間を捉える作業なのだから、AFが最も優れている。…………意図した部分にピントが合うなら。
 AFの問題点は機械と人間の意志に齟齬が発生する事である。要するに「ほい、ピント合わせてよ」「へい。合わせましたぜ、早いっしょ」「いやいやそこじゃねーよwww」「(゚Д゚)ハァ?」と言うお話。
 コレを解決する為に、例えばファインダーに眼球に向けてセンサーを付けて、人がどこを見ているのか判断する「視点入力AF」(※銀塩EOSの後期で流行りましたよね)、を搭載してみたり、ソフトウエア的に作画意図として最も優先度の高い被写体にピントを合わせるように改良を重ねたり…………手動でAFポイントを選べるようにしてみたり(笑)、その延長でタッチセンサーでピントを合わせる部分を選択するだけでシャッターが切れたり。おかげで、現代では大抵意図した部分にピントが自動で合うようになったんである。技術の進歩は素晴らしい。
 だが、飽くまでピント位置を決定するのは人間である。それだけは、忘れてはならぬ。少し噛み砕いて言えば、「ピントが合った部分を中心に作画してはならぬ」。それは貴方の意思か?カメラが偶然選んだ被写体ではなかったか?
 だからAFは恐ろしい。そんな疑問を撮りながら常に感じ続けなければならぬ。最初から最後まで自分がそのピントを選んだ事に確信を持たなければレリーズを押せぬ。

 と言うわけで、ファインダーを覗く前にピントを決めておく目測、と言うのが一番安心できると思うのだが、はて、安心とはなんだったろうか。

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