1月 24, 2012

Leicaが我が家に来た日。

Posted in camera, scrible tagged , , @ 12:23 by R_tungsten

goldenrod

 ……まあ待ちたまえ。言いたい事は分かる。分かるがとりあえず、話を最後まで聞いてくれないか。

 その日は冷たい雨が降っていた……。休日である。雨の日の休日、というのは危険が潜んでいる。
 別に撮りに行ったって一向に構わない。構わないが難しい。傘差してカメラ構えるのもアレだし、錆びそうだし。
 そんなわけで、その日は引き篭もりDAYとなっていた。暖房をかけて全裸で布団に潜り込もう。読書するかPSPで遊ぶかして、無為に休日を殺戮しよう。
 ……そのはずだったのである。

 枕元に積んでいた「ドグラ・マグラ/夢野久作著」のページを捲る。時刻、午前7時前後。冒頭のシーン。ページの表面では正木博士について長々と若林先生が語っている。…………。
 暗転。
 二度寝していた。時刻、午前8時過ぎ。おぉ。このままでは文章を消費した、という無為な満足感も得られないまま休日が無駄死にしてしまう。寝すぎで頭が痛いまま日が暮れてしまう。なんとしてもそれだけは避けねばならぬ。大学生時代の「今日?一番遠くに行ったのは食堂かな?」といったまぬけな生活だけは繰り返してはならぬ。
 むくり。そういえば、先日浅草で撮ったなつこのフィルムを現像に出していなかったではないか。今日の内に出してしまおう。ついでに35mmフィルムを少し補給しておこう。冷蔵庫の中が少し淋しくなって来ているではないか。
 いや?そういえば近隣のDPE店には35mmフィルムはほとんどポジしか置いていなかったのではなかったか?Kodak GOLD400ぐらいしか置いてなかったのでは?

 ……そういえば一人カラオケにも行きたい気がする。magnetをひたすらエロく歌いたい気がする(※一人で)。しかし近隣にカラオケなどない。あるかも知れないが、JOYSOUND以外は認めぬ。おお。これは都会へ行かねばらならぬ。具体的には新宿へ行かねばならぬ。
 思えばこの時点で既に、潜在意識の中で「Leicaを買わねばならぬ」と、例の悪魔的何かが囁いていたのかも知れぬ。

for only snow

 自動車を時速ピーkmで駆り、新宿着。所要時間およそ1.75時間。天候、相変わらず冷たい雨。
 ひとまず未現像のフィルムを某所へ預ける。さらに某所で35mmのPRO800Z5本セットが使用期限切迫で半額になっていたので購入。ついでに120のPORTRA400も。
 俺たちのルノワールで、水出しアイスコーヒーとピザトーストをメニューも見ずに頼む。時刻、13時過ぎ。
 …………。時間の経過が遅い。右手の時計はチリチリとゼンマイを戻し続けている。
 しょうがない。中古カメラ屋巡りでもして時間を潰そう。と、ここはいつものコース。見て回るだけでも心が満たされるのである。
 某店地下。IIIfのレッドシンクロ(※注:前期型はシンクロメモリが黒いのでブラックシンクロ、後期型は赤いのでレッドシンクロと呼ばれる)、良さそうなものが幾つかある。勿論セルフタイマーなしである。セルフタイマーなど要らぬ。滅多に使わないのに常にデザインの一部のような顔をしていて気に食わぬ。
 せっかくだからとレンズを眺める。おお。ニッケルクロームのElmarさんがいる。しかしIIIfには似合わんだろうなぁ。ふむ。赤エルマーはなし。その他、お手頃価格のものが幾つかあるようだ。
 まだ理性は働いていた。せっせと大脳の下の方から上がってくる謎の欲求をぽこぽこと、もぐら叩きしていた。「Exakta修理に出してるじゃん?直ったら色々と試したいことあるじゃん?時期尚早って奴ですよ」ぽこぽこ。

 一旦店を出る。現像が上がってる時間だ。すぐそばの某所で受け取る。
 コンタクトプリントを眺める。拡大してみないと分からないけど、ピンが甘いものが多い。露出が異様にオーバーなものがちらほら。あぁ、たしかにあそこのギャラリー、部屋全体がレフ板みたいなものだからしょうがないよなー。
 カチリ、と脳内でフラストレーションが1つ積み上がる音。ガラス球のように透き通った、しかし密度の高いモノがアンバランスに積みあがる。最密充填構造……と呪文を唱える。容積は変わらないが詰め込み方で人間はなんとでもなるのである。ソフトウエア的解決。万歳。
 予定通り、カラオケへ。なんとなく2時間。アホである。
 何を一人で2時間も歌っていたか、に関してはプライバシーに関わるので黙秘させて頂く。しかしたぶん想像通りである。

 時間経過。時刻、日暮れ。
 帰るか、と思う。日も暮れたことだし。目的は果たしたし。明日は会議だから早く寝たいし(※弊社の会議は必ず日曜に行われる。ふぁっく)。
 足取りが重い。twitterを確認。どうやら某所で手焼きをしているらしい。楽しそうである。また今度暗室篭りをしてモノクロを馬鹿みたいに大量に焼きたい。プリントの楽しさは撮影とは別の質を以って、我々に訴えかけてくるのである。
 カチリ。ぽこぽこ。カチリ。ぽこぽこ。
 天候、依然、冷たい、雨。
 脳髄は自動的に予算と金額を計算している。
 カチリ。カチリ。カチリ。カチリ。
 悪魔的何かが囁く「今なら歩いて行けるよ」。

rest area in glow

 某店地下。昼間目を付けた個体は依然としてそこに居た。
 美しい軍艦部。動作良好、の補足。
 右手を上げて、ちょっとイケメンの店員を呼ぶ。理性は断末魔に「触ったら、私、退散しますね?」とだけ囁いた。
 マウント側からシャッター幕を覗く。意外にもぴかぴか。たぶん一度は交換してあるように見受けられる。
 巻き上げて高速を切る。ベアリングがぬるりと回る。M型に比べて少し高めの音が響く。
 続いて低速。耳を近づける。シャッターが切れた後にシャンシャンと金属が響く。どうやら正常。
 ファインダー測距用、フレーミング用、どちらもやや汚れ。二重像は問題なし。実用。
 アタリ多め。しかし気にならない程度。
 Elmarさんも見せてもらう。
 沈胴、問題なし。ヘリコイド、問題なし。無限遠でカチリとロックが決まる。レンズやや埃。問題なし。純正蓋付き。これ単体で買うと高い。

 「じゃあ、コレとコレで」
 あれ……何言ってるの?俺。え?おかしいな?買っちゃうの?理性さん何処行ったの?「いや退散するって言ったし」
 デビット。一括。ご購入。「おめでとう」「おめでとう」「おめでとさん」「僕はここに居ていいんだ!!」

 帰りの高速では「俺……来月どうやって過ごせばいいんだろう?」という危機感で頭が一杯である。ルームミラー。おっさんの目は街灯にギラギラとランランと輝いている。おぉ。Leicaの魔性に当てられた目をしているぞ、このアラサー。
 帰宅。一食150円以下の食事をもそもそと食す。巻き上げてシャッターを切る。シャッと横走り布幕の爽やかな音が、生活してるだけで病気になりそうなほど煩雑な部屋に響く。…………当然腹は膨れぬ。おぉ。フィルムとプリントを目で食べて生きる写真の妖精になりたい。糖質もタンパクも摂取したくない。
 部屋に転がっていた400TXを拾い上げて試しに装填してみる。とりあえずテレカ式。……めんどうくさい。おもむろにハサミを取り出して、フィルムをじょきじょきと細く切る。今度はすんなりと装填できた。流石に公式の方法である。スプロケットとパーフォレーションの噛み合いも下側から覗けば普通に見えることが分かったので、これならよく言われる装填ミスもしないで済みそうである。いっそ35mmは全部じょきじょきしてやろうか。
 フィルムの切れ端を摘み上げて眺める。懐かしい匂いがした。

 …………と言うわけでな?え?長い?やめて!石は投げないで!あと、そんな目で見ないで!もっと見て!!
 えー。使ってその後の話はまた今度。うわあ。

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